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<<<<<< 左大臣助平(スケヒラ)の悩み「上品についての考察」 >>>>>>

 助平の古き友人に、自称“ケンチクカ”がいる。

 彼は時折奇抜な家を造るのだが、哀しいかな奇抜すぎて、使い勝手がよろしいとは言い難い面も否めない。

 開かずの扉、音の出ない呼び鈴、一見厠風物置、(慌てて駆け込み、愕然としてお漏らしした、気の毒な客人もいたようだ。)ギヤマンの二階踊場、(確かに階下は明るいが、上にご婦人が居ると、腰巻の中が丸見えになり評価はすこぶるよろしくない。過日それと知らず訪れた客人が、掃除中の婆やをうっかり見上げてしまい、熱を出して寝込んでしまった話は、界隈では有名である。)

 その男、名を毛林茂春という、一見元気付けられそうな名の持ち主であるが、当人に元気という言葉を当てはめるには、極めて不自然なものを感じてしまう。
彼が仕事場に居ない時、医師の所を覗けば、彼の姿を確認出来ると言われていることが、如実にそれを物語っているようだ。

 最近彼はようやく己の仕事に品性に欠ける面も、ほんの少しあるのではないかと、気付きはじめたようであり、俄かに上品についての研究に取り掛かった。  彼の最初の研究テーマは「上品な小水の仕方について」という実に馬鹿馬鹿しいテーマではあるが、なにせ助平の友人である。どんな内容であれ、研究しようというその姿勢は誉めてやらねばなるまい。

 彼はそのテーマを追求するにあたり、様々な者達の用足し現場を観察して廻ったそうだ。

 ある日の公園のトイレでは、数人の男達が並んで放尿中。何気なく見ると、真ん中の1人が尻丸出し。幼児がズボンを膝迄下ろし、小水する可愛い姿なら、何らその姿に異を唱える者はおらぬであろうが、大人の尻丸出しは不届き千万。

 なれど、周囲の者誰も吾関せず。仕方なく彼は意を決して「君々、その姿は極めて不自然では・・・」と言いかけた途端、小水垂れつつ振り向いたそのオニーサンの形相に凍りつき、一言も発していないのだが、その目が「それがどーした!文句あんのか。」と言っていたとか。

 彼はトイレで刺され、小便器に顔突っ込んでノビテいる自分の姿、忽ち脳裏に浮かび、左様なる品のよろしくない吾が姿は、御免被りたいとばかり、「ウンウン、元気があって結構結構。」とその場からスタコラサッサ。

 その晩、彼は珍しく布団の中で思索に耽り、ここ最近、ガキがそのまま大人になってしまったが如き場面、時折目にするが、一体誰が悪いのかと、一人前に考えてみる。しかし、まさか助平始め自分達が、その先頭をきっているなどとは夢にも思わず。

 時雨れ混じりの夜は更け、やがて睡魔が訪れる間際に尿意を覚え、しぶしぶ布団から這い出し、厠に立った彼は、全く無意識に大便器で座り小便...。

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